今から10年くらい前かな?とってもエッジな雑誌で「コミックビーム」という漫画誌があり、私はその雑誌の大ファンでした。
その中でとても印象に残っている漫画があります。永野のりこ著「電波オデッセイ」です。
漫画ファンからはある程度の支持があったのですが、長い間絶版でプレミア価格になっていました。
その漫画がこのたび復刊するそうです。
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復刊ドットコム 復刊活動レポート: 復刊活動:「電波オデッセイ 全4巻」
原という女子中学生が主人公です。なんていうか、思春期の、自意識が肥大化しすぎて死ぬことばっかり考えたり、急に何かに影響されてラブアンドピースを叫んだり。そういった移ろいがちでこの世界の重圧に耐えることに精一杯な中二病電波漫画です。
っていうか、内容は説明したくない。もったいない。
中二病抱えてる、あるいは抱えていた人はきっと特別な感情をこの漫画から感じると思います。
同じ雑誌同じ時期に、今結構人気になってる志村貴子「敷居の住人」がありました。これも中学生の話なんですが、初めてのセックスだの、担任の教師が好きだの、家出だの、淡い初恋、揺れ動く甘酸っぱく青い心、ぶち殺すぞリア充爆発しろそっち方面の苦しみなんてこちとら味わってねーんだよああもてねーよもてねーよ非コミュだよくそ人間が怖いんだよ近寄るな死ね死ねぼけなす色ぼけマセ餓鬼畜生が、っておもって自分はどうしても好きになれなかった。
学生時代、暗く苦しく家にも学校にも居場所がなくて途方に暮れていた自分は、断然に電波オデッセイを支持してました。
以下つまんでストーリー説明します。ほんの少しですが、これから読む人は見ない方がいいです。あと、本は実家に置いてあるので記憶で書きます!間違ってるかも。
主人公原はロックに心酔してる糞オヤジと田舎から出てきた「おかあさん」の間に出来た子供だ。
父親は「俺が父親!?がらじゃねーよ」と言って遊び歩き、母親は子育てを押しつけられ次第に狂っていった。その中で原は金のためか児童ポルノのモデルとなったようだ(この辺は曖昧な記述でぼかしてある。)虐待も受け、生傷だらけの体になる。(これも狂った母がやったのか、父がやったのかわからない)。
あまりにひどい仕打ちを受けた原は引きこもる。
やがて原の元にオデッセイというイマジナリーフレンドが現れ、「あなたは旅行者で、この世でお土産を見つけて帰らないといけません」と告げられる。それを聞いた原は「どうせ旅行者なんだから、もっと楽しもう」と学校に向かう。
オデッセイが現れたときと同じくして、子供の頃の原の幻覚も見るようになる。虐待されていたときの原がトラウマとなって現れ、暗い過去に引きずり込もうとするのだ。
中学校での原は、普通にオデッセイと会話し、突飛な行動を取るため浮いた存在になる。けれどもそれにめげることなく、半ば開き直ったように振る舞い続ける。
……すみません。ここまで描いて、掻い摘むどころじゃなくなりそうなので、粗筋はこれまでにします。
ともかく、思春期の孤独、暴力、世界と自分に対する嫌悪感、異性に対する恋心、自信を簡単に喪失してしまう自分、安易に死を思ってしまう繊細な心等々、中二病漫画なんです。
この場合の中二病は、ネットで笑えるような中二特有の行動、考え方とは少し違うもので、壮絶な、あまりにも重い心を引きずって生活をしなくてはならない中二病です。とても笑えない中二病です。
今そういう気持ちを抱えている少年少女、未だあの頃の傷の癒えない大人達は是非手にとってほしいです。
復刊に際して著者がコメントを寄せております。
永野のりこ 復刊特集ページ
相変わらず独特の文体ですが;
著者もまた、思春期の頃の重い気持ちをひきずったままの人なのでしょう。そうして一区切りついた後、過去の痛みを思い出しながら電波オデッセイを描いたのではないのでしょうか。
今なら先着順でサインをしてもらえます。書き下ろし漫画(登場人物である「てんこ」ちゃんが描いた、くけだいちゃんっていう超独りよがりな漫画)もあるようですね
■≪予約特典≫永野のりこ先生の1巻サイン本を先着200名様にプレゼント!
・2011年1月25日までに復刊ドットコムでご予約いただいた先着200名様に、永野のりこ先生直筆イラスト入りサイン本をご提供します。
・サイン本の当たりには“手作りのアレ”がはさまっています(内容は届いてからのお楽しみ)
※サイン本は1名様1冊までのご提供とさせていただきます。
電波オデッセイ<1> きみが消えてゆく速度よりはやく 永野のりこ 販売ページ
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以下適当にググった。
電波オデッセイ – Wikipedia