リトル・ミス・1565

「すきになった」
はてぶ
とても、悲しくて、怖い。
きら星のように闇に浮かぶ一面の笑顔の空間が、一瞬のうちに地獄となり、自分の命を守るために、子供の命を助けるために、沢山の人を踏みつけて、殺した。
僕は生まれてから一度だけサーカスに行ったことがある。幼い頃だ。
だけれど、そこでいったい何を見たのか、全く覚えていない。ただ一つ覚えているのは、始まる前の薄暗いテントの中で熱気。それをみている自分。
サーカスは怖い。子取りの話や、売り飛ばされた少女がサーカス団で働く話。ピエロの恐ろしい化粧。
その中で、一人、身元の分からない女の子。
誰の子供でもない。
もしかしたら、どこか遠い所から来て、こっそり無銭でサーカスを見ようと紛れ込んでしまったのかもしれない。
とても恐ろしい話だ。
友達も親も居ない「リトル・ミス・1565」。